今回は日本の現代怪談の一つ、八尺様を紹介していきます。八尺様とはインターネット上から広まった怪談およびそれに登場する妖怪です。
八尺様についての話題の発端は2008年8月26日の2chへの書き込みが最古の例であるといわれています。
見る人によってその容姿は若い女の人から老婆、服装も様々で幅広く噂されていますが共通点としては身長が2メートル以上で被り物をしていると言う点です。
また八尺様は定期的に人里に降りてきては成人前の男性に魅入り、魅入られた男性は数日のうちに殺されてしまうと言われています。
八尺様の怪談話
体験者はとある高校生、父方の実家がある祖父の家に遊びに行った時の話だそうです。
彼の祖父の家は山奥の田舎の村でしたが、都会の街中で過ごす彼にとっては良い時間だったといいます。
ある日散歩中の彼は近くの家の垣根の上に帽子があることに気が付きました。
誰かの忘れ物かと思いましたが、その時帽子がスッと横に動きました。
何事かと思ってよく見ると垣根の奥に白いワンピースを着た身長2メートル以上はあろうかという女性が立っていました。
そして不意に「ぽぽ、ぽぽっぽ、ぽ、ぽっ」みたいな音が聞こえてきました。
何だろうとは思いつつもあまり気にせず家に帰りその女の人の話を祖父と祖母にしたといいます。
祖父母は最初は関心を示しませんでしたが「身長2メートルはあって、変な音も聞こえた。」と言った途端祖父母の顔が青ざめ彼を問い詰めます。
そして祖父は答えも聞かずに何処かへと慌ててどこかに電話し、祖母はその様子を心配そうに眺めていたといいます。
「あの女の人が何かあるの?」と聞くと祖母は「八尺様に魅入られてしまったようだね。大丈夫、じいちゃんがなんとかしてくれる。」と震えながら答えました。
八尺様から身を守れるのか
数時間後祖父がどこからかお婆さんを家へと連れてきました。
そのお婆さん曰く、長身の女の人は人間ではないということ、この辺りに伝わる八尺様って言う悪霊で、それに出会うと殺されてしまうと言うことを告げられます。
初めは何を言っているのかわからなかったものの、お婆さんや祖父母の表情とか見てたら本気だということがわかりました。
お婆さん曰く、八尺様に魅入られて一晩明かしてから村の外に出れば助かるかもしれないとのことでお婆さんと祖父は家の二階の一部屋の四隅に盛り塩をし、壁や天井、窓にありったけのお札を貼ると彼にこう言いました。
「明日の朝の7時まではおじいちゃん達は絶対にお前を呼ぶこともなければ声をかけることもない。何があってもこの部屋から出るな。」
そう言われて彼は大人しく部屋にいました。スマホも使えるしテレビも見られます。部屋に貼られたお札と置かれた盛り塩以外は普通にしていました。
早めに寝ることにした彼でしたが、何故か午前2時、嫌な時間に起きてしまいます。スマホを触って気を紛らせていましたが、窓の方からコツコツと叩くような音がします。気のせいだと思い無視しているとしたから祖父の声がしました。
「おーい、大丈夫か?怖かったら無理せんで降りてこい。」
その声に振り返ると部屋に置かれたお札と盛り塩が黒くなっていることに気が付きました。
一瞬声に反応して部屋を出ようとしたが、祖父の言葉を思い出しました。
「明日の朝の7時まではおじいちゃん達は絶対にお前を呼ぶこともなければ声をかけることもない。何があってもこの部屋から出るな。」
彼がいる部屋だけは盛り塩とお札で守られた結界の中、その外に出たら八尺様は手が出せる可能性があります。そして外から聞こえる聞こえるはずのない声・・・。
彼は八尺様に自分が呼ばれていると言うことに気が付きます。
彼はなんとか無視を決め込んでいましたが次第に窓を叩く音は大きくなり窓が揺れ始めます。ただ日が昇るとその音もなくなり、彼は再び寝てしまっていました。
無事に村からの脱出できるのか
昼頃に彼が目を覚ますと彼の父親が来ていました。父親も八尺様のことは知っており
「この土地に昔から伝わる八尺様って言う悪霊らしい、八尺様は数年から十数年に一度気に入った成人前の男を殺すらしい。俺が子供の時、1人やられた。」と話してくれました。
その後彼は親父の車に乗り込み、彼の乗る車を真ん中に親戚で車の列を作っていきました。
これは八尺様への目眩しの役割を果たしているようで彼の隣に座った祖父は「じいちゃんがいいというまで下を向いてこのお札を握っていろ、ワシらには何も見えんがお前には見えてしまうのだろう。」と告げました。
彼は言われた通り下を向いてお札を握っていました。車はゆっくり村の外へと向けて走り出していきます。しばらく走ると車の窓ガラスがコツコツと叩かれた音がしました。彼は恐怖で身をかがめて必死にお札を握りますが、夜と同じようにお札は黒く変色していきます。
その恐怖と戦うこと数十分、ようやくじいちゃんがいいぞと言ってくれました。彼はゆっくりと顔をあげます。
何もない、しかしふと窓の方を見ると彼は震え上がりました。巨大な女の人、八尺様はその身体を伸ばして彼を睨みつけています。
村の外には出られないのか、やがてその姿は何処かへと消えていきました。彼はなんとか生還することができました。祖母の話によると八尺様は村のに囲むように設置された地蔵の外には出られないそうです。
数日後、彼はその後何事もなく生活を続けていましたが、10年経って祖母から電話がかかってきました。
「今朝、あんたが出てった方向の地蔵様が破壊されてたんよ。あんたを探して出ていったかも知れん、もう村には近寄っちゃいかんよ。」
この破壊された地蔵というのは村の東西南北4か所にそれぞれ配置されており、破壊されたのは彼の家の方角の地蔵だと言います。
地域に限定されていたはずの八尺様が取り逃した彼を追いかけてきたのでしょうか?
八尺様の正体とその他の目撃例
実はこの八尺様と考えられる妖怪が封印されていると言われている場所があります。それが青森県の八尺堂です。
八尺様の名前は八尺ほどの背の高さが由来という考え方が主流ですが、1つの仮説として地名が由来なのではとも言われています。
「八尺」という地名は青森県の八尺堂にしか存在しておらず、八尺堂の由来は分かりませんでした。しかし、この地域には珍しい八尺という苗字の人がおり、八尺様の目撃情報も東北地方に多い傾向があります。
以上のことから、八尺様と何らかの関係性があるのではないかと考えられています。
目撃したのは学生や主婦、子供など年齢層や性別も幅広いため、成人前の男性や子供をターゲットにする八尺様とは少し違うような気もしますが、背の高さや意味不明な言葉を発していたなど八尺様の特徴に当てはまるものも多くありました。
また、芸人のゆりやんレトリィバァさんも女性でありながら八尺様を目撃した1人です。
大阪の難波の公園で不思議な女性を目撃しています。その女性は飛び跳ねながら意味不明な音を発しており、見た目は黒い長髪で白いスカートをはいていたそうです。また、180センチ以上ある滑り台より背が高かったそうです。しかも、当時複数の先輩後輩がいたのにも関わらず、その女性を見たのはゆりやんレトリィバァさんのみだったそうです。
八尺様まとめ
今回は2chから有名になった現代怪談八尺様を紹介しました。目撃者によって様々な証言がされていますが、共通点は背の高い女の人ということです。もし貴方が不自然に背の高い女の人をどこかで目撃したら、もしかすると八尺様からも知れません。