若さを武器にした体当たり
キャリアの初期に難役に挑むことは、大きなリスクであると同時に飛躍のチャンスでもある。ここでは、若くして体当たり演技に挑んだ2人を紹介する。
27.日南響子 映画:桜姫(2013)
一言で体当たりポイント:古典歌舞伎を現代に翻案した”異世界への没入”
橋本治の小説を映画化。日南響子は、桜姫という数奇な運命をたどる女性を演じた。
若手だった日南にとって、歌舞伎の様式美を持つ役は大きな挑戦だった。しかし彼女は、その異質な世界観に見事に溶け込み、「別の時代からきた人物」としての説得力を獲得している。
演技の観察ポイント
- 表情:現代人とは異なる、どこか古風な顔の作り
- 動き:歌舞伎の影響を感じさせる様式的な所作
- 声・間:台詞回しのリズム感
初見向けの見方 「普通の現代劇」として観るのではなく、「様式美のある作品」として観ると、日南の演技の意図がわかりやすい。
同タイプで刺さる人 → 高岡早紀の時代劇演技が好きな人に
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28.坂井真紀 映画:ノン子36歳(家事手伝い)(2008)
一言で体当たりポイント:中年の閉塞感を等身大で体現した”リアルな痛さ”
熊切和嘉監督による作品。坂井真紀は、実家で家事手伝いをしている36歳の女性を演じた。
坂井がこの作品で見せたのは、「何者にもなれなかった」という閉塞感のリアリティ。きれいごとではない、痛々しいほどの等身大の演技が光る。女優としてのプライドを捨てた、勇気ある役作りだ。
演技の観察ポイント
- 表情:諦めと、それでも湧き上がる欲望の揺れ
- 動き:若くない身体の重さ、生活感
- 声・間:自信のなさがにじむ話し方
初見向けの見方 主人公の「痛々しさ」に共感できるか、できないかで印象が変わる作品。どちらの視点でも、坂井の演技は説得力がある。
同タイプで刺さる人 → 田畑智子のリアルな生活感が好きな人に
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【このページのまとめ】 日南響子と坂井真紀。年齢もキャリアも異なる2人だが、「自分を良く見せよう」としない正直な演技という点では共通する。格好つけない演技は、時に格好つけた演技よりも勇気が必要だ。
