神隠し事件「松岡伸矢くん」の真相。マスメディアの闇とは

神隠し

国内には遥か昔から様々な「神隠し」事件の存在が伝承され、歴史的資料からもその存在が立証されています。ただ現代とそれ以前の神隠しには明確な違いがあります。

古来日本の農家など身分差別が激しかった時代は度々飢饉などが起こります。また武家による年貢の厳しさなどの経済事情から、どうしても我が子を養えない状況に陥ります。

その際苦渋の決断を親が迫られ、ある意味罪の意識の言い訳として「神隠し」と言葉が産まれた、という説が一般的です。

「神隠し」という言葉の発祥には過酷な時代背景があったのです。

一方現代社会においてはどうでしょう?

一億総中流・バブル期・飽食の時代を経て、近代日本は現在進行形で貧困格差や生活困窮家庭・ワーキングプア、そしてコロナ禍起因の先行きの不透明さなどが社会的問題になっています。

しかし生活保護を始めとする福祉行政のセーフティーネットや善意的な団体の活動などにより、社会的弱者を取りこぼさない制度が民主主義の上に成り立っているのは紛れもない事実です。

となると…現代の「神隠し」事件には一体どんな背景や要因があるのというのでしょう。

今回はその代表的な一例として「松岡伸矢くん神隠し事件」について見て行きたいと思います。

ごく最近、某民放番組が起こした不祥事で一躍再注目を浴びることになりました。ご存知の方も多いと思います。

松岡伸矢くん神隠し事件の概要

事件

最初に結論を言いますが本事件は未だその全貌が掴めていない「未解決事件」です。その特異性で未解決事件の中でもかなり有名で謎が深い事案となります。一連の流れから「神隠し事件」に分類されます。

事のあらましは1989年3月と実に32年前にも遡ります。
事件の舞台は四国徳島県の貞光町(現つるぎ町)。

この地の親戚宅に帰省していた松岡伸矢君(当時4歳)が親が目を離したわずか20秒の間に忽然と姿を消してしまいます。

松岡伸矢君一家は夫妻・長男・次男の5人家族で、事件前日に母方の祖母が急逝されたための急な里帰りでした。葬儀後、家族はその親戚宅に宿泊することとなります。事件はこの親戚宅の正に目の前、早朝の時間帯に突如として起こります。

葬儀後の3月7日午前8時ごろ、伸矢君は父親に連れられ2人の兄弟と従兄弟と計五人で朝食前の散歩に出かけます。

散歩を10分ほどで切り上げた父親は親戚宅玄関から門扉に繋がる石段付近、約10mほどの場所にいる伸矢君を確認しています。

伸矢君はこの後もっと散歩をしたかったらしくこの場に留まっていました。父親は残りの子を母親に預けた後、伸矢君の元に向かおうとします。
次男は当時乳幼児であり、それは何気ない日常の一コマでした。

ところが父親が再び目線を向けた先に伸矢君の姿はありません。この間たった20秒の出来事です。

地方のため、隣家すらだいぶ離れた場所にあります。当然人通りは皆無で何かしら怪しい人物がいれば即座に気付く状況です。

家族は当初大事とは思いません。しかし幾ら探しても全く伸矢君は見つかりません。親類・地元消防団も加わった捜索が始まっても伸矢君の姿は一考に発見できず、遂に発生から約2時間後の午前10時に警察に通報する事態となります。

捜索の詳細

未解決事件

捜査の初動は「事件性なし」というものでした。この初動が本事件をさらに難解にします。
警察は「事故」と判断しますが、その行動自体は迅速でした。

その日の内に徳島県警100人、翌日には200人を大動員し捜索に当たるのです。しかし徳島県の片田舎ということもあり、地元の人間以外は散歩コースにはほぼ出入りがなく、不審人物や車などの目撃者も皆無で、手がかりすら一向に掴めません。

若干4歳という年齢から見て行動範囲も限られており、ましてや捜索のエキスパートである警察官がのべ200人を動員しても手がかりすら掴めない状態が続きます。

当時は父親が第一容疑者という見解もあり、精神的に非常に追い込まれていたそうです。

2021年現在でも未だ松岡伸矢君は行方不明のままです。

そして次第にこの事件?あるいは事故?はまことしやかに「神隠し」と噂されるようになるのでした。

失踪後の不可解な話ナカハラマリコとは。

この神隠しには「人間の怖い話」として2つの有名なエピソードを残しています。

一つ目は「ナカハラマリコからの電話」です。

本来であれば家族全員そろい茨城へ帰宅予定であった3月16日未明に、親戚宅にある奇妙な電話がかかってきます。

徳島なまりの女性からの電話で「ナカハラマリコの母親」と名乗るその人物は「○○幼稚園の○組の父兄です。幼稚園で見舞金を集めたいんですが、もう戻ってくるんですか、どちらに送ればいいのでしょうか」としつこく尋ねてきます。

○○幼稚園は実際に伸矢君が通っている幼稚園でした。

ただ不可解なことに幼稚園に尋ねるとナカハラマリコという人物は在籍どころか関係者内にも存在していません。

徳島なまりのナカハラマリコがなぜ伸矢君の幼稚園名を知っているのか。また茨城県在住の伸矢君の幼稚園名を知っていたとしてなぜ偽名を使うのでしょうか。

伸矢君一家に近しく、そしてその動向を見張っている者の電話なのでしょうか。いたずら電話や愉快犯の仕業と見るのが至極一般的でしょうが、何とも不気味な後味の悪い話です。

そして二つ目は前置きでも述べさせて頂いた、テレビでよくある行方不明者捜索番組での一コマです。

番組名は伏せますが、番組内で紹介された「和田竜人さん」という人物の風貌とそのエピソードが非常に松岡伸矢君に酷似していました。

「本物ではないのか」というセンセーショナルな話題が番組視聴者を始め、ネット界隈を起因にあっという間に駆け巡り、一躍大騒動になります。

和田竜人さんは自称25歳、そして見知らぬおじさんに17年監禁されていたと証言し、しかもご本人が記憶喪失であるということが番組内で判明します。

そして何と警察が動きだす事態にまで発展するのです。

ここにきて遂に松岡伸矢君神隠し事件が解決するのか、その当時は相当の期待と物見遊山的な意味合いで、多くの人々が固唾を飲んで事の成り行きを見守っていました。

そして遂に和田竜人さんが松岡伸矢君であるかどうかのDNA鑑定が始まります。

ただ、その結果は全くの別人であることを証明するという落胆すべきものでした。では逆にこの和田竜人さんは何者なのでしょう。

しかしそのすぐ後、何と竜人さんの実の父親が名乗り出ます。

つまり別人だったということが完全に確定してしまいました。

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マスメディアの闇。仕込み?やらせ?

ここまでならば松岡伸矢君の件は残念ですが、一つの行方不明者の身元が判明した喜ばしい出来事です。

しかしその後、この和田竜人という人物にとある疑惑が浮上します。

記憶喪失と自ら言っていたのにも関わらず、別番組で3年前推定22歳の時点でAKB48オタクとしてインタビューを受けていた事がネットで特定されたことが発端でした。

また実際に神奈川県相模原市のコンビニエンスストアの店長と同僚から「うちでアルバイトしていた人物に間違いない」という証言が上がります。

そして実際の父親のツイッターには「これで2回目の記憶喪失、それが事実であれば今回の記憶喪失も回復する可能性があるのではないだろうか」という意味深なツィートが投稿されます。これは彼に対しての皮肉を込めた文言だという解釈と受け止められてしまいます。

この様に次々報告される実情からテレビ局の仕込み・やらせではないかという憶測が瞬く間に拡散します。

この様に事態はとんでもない方向に動いてしまいました。この件が真実か否かは確定されていません。

ですが松岡伸矢君の残された家族、特に父親のためにもやらせではないことを祈るばかりです。

神隠し事件の解明を願う

件のやらせ疑惑は未だテレビ局も否定しており真偽のほどは定かではありません。

しかし現代の神隠し事件として余りに有名な本件は未だ風化していません。

残された家族まで巻き込むエンターテイメントは余りに無慈悲でしょう。

そう感じるのは著者が「神隠し」について調べていくと、その対象の殆どが子供だからです。

解決した神隠し事件で有名なものは「新潟女児監禁事件」や「北海道城丸ちゃん失踪事件」などがあります。

監禁事件は家族や友人と過ごす貴重な9年もの青春時代を奪われていますし、城丸ちゃん事件に至っては99.9%犯人とされていた人物が黙秘権を貫き、最終的に時効により殺人罪に問われない極めて特異な事件になってしまいました。

子供がいなくなり最も苦悩するのは親御さんです。

今回の松岡伸矢君もいつか無事育った姿を父親を初めとする家族にもう一度見せることを切に願います。